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OpenType、TureType、Postscriptのフォントデータ形式の違いを理解する

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Nakayama

OpenType、TureType、Postscriptのフォントデータ形式の違いを理解する

公開日:2023/12/27

デザイナーとしてフォントを使っている中でどうしても前から気になっていたことがありました。
フォントのデータにはいくつか分類があるのです。それはフォントを選ぶ時に出てくる下図の赤い枠の「O」やら「T」やら書いてある部分になります。普通に使っているぶんには特に違いは感じません。そこでそもそもこれは何の為にあるのか、なんでこのような分類がされているのか、そして結局何を使ったほうがいいのか、というところを調べてきたので今回はそれをまとめたいと思います。

まずは結論から言うと...

この「O」や「T」などの正体は、「OpenTypeフォント」「TrueTypeフォント」「Postscriptフォント」という風にカテゴライズされていて、まず結論から言うと、OpenTypeフォントを使ったほうが良いということになります。
『WEBやグラフィックのプロのデザイナーが仕事として使用するのであれば』という前提があることは先に述べておきたいと思います。学校や仕事場でもおそらく教わることはないであろうマニアックな話になりますので、長くなると思いますがお付き合いください。

フォントデータの仕組み

デバイスの画面上や印刷などで出力されるフォントデータとして、ドットの集合体で表されるビットマップフォントと、直線や曲線で表されるアウトラインフォントの2つに分けることができます。
ビットマップフォントは黎明期のコンピュータやワープロに使用されており、のちに紹介する「Postscriptフォント」というものが出現して以降1985年を境にアウトラインフォントが主に使用されるようになりました。
拡大・縮小に弱く文字が崩れやすい前者に対して、後者では拡大・縮小してもクオリティが保たれる(=スケーラブルフォント)ことが特徴なので、現在ではアウトラインフォントが主に使われています。OpenTypeやTrueTypeやPostscriptもまた、こちらに分類されます。

アウトラインフォントのデータ形式を大分類するとこの3つだ

1980年代にはDTPが登場し、コンピュータ上で扱うフォントも時代を経て出力精度が上がりました。現在に至るまでにどんな方法でフォントが生まれて来たのか、そしてどのような背景があったのかを時系列順にまとめていきたいと思います。

Postscriptフォント

【歴史】
1984年にAdobe社によって開発されたページ記述言語を元に作られたフォント。PostScript対応のDTPソフトウェアやプリンターの普及により広く使用されるようになり、コンピュータの画面上でも使用されるようになった。のちにType0、Type1、Type2など、Type別にいくつもの種類が出されたが、特にType1がフォント形式としての標準となり1つの時代を創った。1996 年からAdobe製品ではType1ではなく、より汎用性の高いOpenTypeフォントを採用するようになった。そして2023年1月にAdobe 製品に含まれるすべてのType1フォントのサポートを終了し役目を終えた。
【特徴】
・Fontgrapherなどで作られるフリーフォントの多くはこの型式になっている。
・ライセンス価格は高額だった。
・グラフィックデザインや印刷出版物に多く使用されることが多かった。

TrueTypeフォント(.TTF/.TTC)

【歴史】
1990年にApple社とMicrosoft社によって開発された。単一ファイルのみのシンプルなデータ構成ということもあり各社のOSにこのTrueTypeフォントが標準搭載され、今日までMacintoshとWindowsに付属するほぼ全てのシステムフォントはTrueTypeフォントとなり広く普及した。
【特徴】
・ビジネス・一般向けのフォントとして使用されることが多い。
・フォント情報の保存方法の違いにより、MacとWindows間での互換性は無いため、文字化けやレイアウトや文字組のズレなど、不具合が生じる場合がある。
・最高解像度は600dpi。

OpenTypeフォント(.OTF/.TTF/.TTC)

【歴史】
1996年にAdobe社とMicrosoft社によってPostScriptとTrueTypeの技術を統合して新たに開発され、1997年4月にバージョン1.0が発表された。OpenTypeは、TrueTypeとPostscript Type1フォントの2つのアウトラインフォント技術の後継として位置付けられており機能性・拡張性のあるフォントとして広く普及した。
【特徴】
・デジタル署名の追加が可能。
・MacとWindows間での互換性あり。
・合字や文字詰めの機能が備わっておりデザインの操作性が高いためDTPで使用されることが多い。
・フォントのアウトラインデータを送信して出力を行う「ダイナミックダウンロード」に対応しているため、プリンタフォントを必要とせず、解像度の制限がない。
・Unicode対応で文字セットが豊富。
・64,000種のグリフ情報を持つ。

Opentypeフォントについてさらに知る

冒頭でもデザイナーはOpenTypeフォントを使うべきであるとお伝えしました。そして上記ではそれぞれのフォント形式について書いてきました。結局のところOpenTypeフォントというものはPostscriptフォントからTypescriptフォントの時代を経て、改良を重ねに重ねた現代のアウトラインフォントの最新版と言えるのです。そんなOpentypeフォントについてさらに深掘りしてお伝えしていきたいと思います。

OpenTypeフォントは2つの形式がある

勘の良い方はOpenTypeとTrueTypeの拡張子が同じであることに気づいた方もいるかもしれませんが、OpenTypeフォントは、TrueType形式をベースにしつつ、Postscript形式をサポートしたフォントフォーマットなのでどちらをベースにしているかに違いがあるということです。

  • Typescript形式(.TTF/.TTC)
    .TTF・・・フォントデータのみ収録しているもの。TrueTypeFont。
    .TTC・・・フォントデータに加えてプロポーショナルや等幅などを収録しているもの。TrueType Collection。

  • Poscript形式(.OTF/.TTF/.TTC)
    .OTF・・・Type1フォントをベースとしたアウトラインデータ。OpenTypeFont。
    (.TTFと.TTCの意味は上に同じ)

描画方法の違い

アウトラインデータ部分について、TrueTypeは二次スプライン曲線なのに対し、Postscriptは三次ベジェ曲線と呼ばれる方式で描画されているため、データの制御方法に違いがあります。前者は置かれた点同士の近いところを通る線のことで、後者は複数の制御点(通過点と方向点)を使って作成する曲線です。
三次ベジェ曲線のほうが少ない点で曲線の自由度が高く表現できた上で、フォントのデータ容量が軽いというのも特徴になります。

  • TrueType形式
  • Postscript形式

バリアブルフォントという新たな概念

2016年9月策定のOpenType 1.8で、同じフォントファミリー内の太さ、幅、イタリック、傾き、オプティカルサイズといった複数のスタイルを一つのフォントファイルにまとめられるバリアブルフォント(OpenType Variable Font) がApple社、Google社、Microsoft社、Adobe社によって追加されました。Regular、Boldなどのグリフの数だけフォントを読み込む方式と比べ、軸と呼ばれるパラメーターによって直感的に、連続的に補完することが可能になりました。これぞまさにOpenTypeフォントの進化版といえます。これによってDTPだけでなく、WEBフォントとしての性能も向上したため、媒体を問わず、文字による表現の幅がさらに広がりました。

まとめ

デザイナーが使うべきフォントデータ形式はOpenTypeフォントであるとして、フォントデータの仕組みから始まり、PostscriptとTrueTypeとOpenTypeの3つのアウトラインフォントについて成り立ちや特徴をおさえ、最後はOpenTypeフォントの優位性についてお伝えしてきました。

ただOpenTypeフォントの特徴を書くだけでも良かったのですが、これまでの歴史や背景を知ることでOpenTypeフォントというものがTrueTypeフォントのデータ形式の手軽さ・汎用性をベースにしつつ、Postscriptフォントの高機能・高精度な技術を踏襲して今に至っているということ、そしてAdobeやMicrosoft、Apple、GoogleといったIT技術の最先端をひた走る会社がフォント形式を通じてせめぎ合ったり、手を取り合いながら紆余曲折で今に至っているということが知れました。

OpenTypeフォントの特徴である文字セットの種類や、バリアブルフォントについてはIllustratorで操作しながら後日記事で紹介していこうかなと思いますので興味のある方はご覧ください。