Designer
|Nakayama
文字詰めの機能「カーニング」「トラッキング」って何?
公開日:2023/12/17
本や雑誌などの書籍ってとても読みやすくないですか?(唐突)
それは、フォントや文字組みが美しいからという他ありません。スッと情報だけが素直に入ってきて文字を読ませることだけに集中させているのです。
僕は好きなフォントの中に「游明朝体」というものがあり、前に少し調べていたことがあります。この游明朝体を制作した時の書体設計士・鳥海修さんの言葉にこういうものがあります。
“水のような、空気のような活字”
時代小説が組めるような明朝体として2002年に開発された書体ですが、デジタル化が普及して様々な媒体で文字が組まれたり読まれるようになる時代でも、文字が主張するのではなく安心して読める「ふつう」で「ベーシック」な書体として作られたそうです。デジタルが一般にも広く普及しつつあったこの時代の、まさにスタンダードを創った書体なんです。
なぜ文字組みをするのか
簡潔に言うと読者に対して違和感なく文字を読んでもらえるようにだと考えています。例えば文字同士の間隔が空きすぎていたり詰まりすぎていたり、そういったなんとなくの読みにくさみたいなものがあると文字を読むことが苦痛になり、情報が入ってこなくなってしまいます。
そういった調整を行うことを「アキを調整する」などと言いますが、その手段は2つあります。
1つはカーニング、もう1つはトラッキングです。これらを駆使することによって綺麗で違和感のない文字組みを行うことができるわけです。
・・・とは言いましたが、このDTP時代においてソフトやアプリケーションが発達しているため、それなりに綺麗な文字組みはデフォルトでできてしまっているのです。誰でもお手軽に文字が扱えるようになった分、世に出回る文字組みのクオリティにも差が出るようになりました。
私も文字組みの重要性は分かっているのですが、「色々機能があって分からん!」「うーんとりあえずメトリクス使っとけばいいんでしょ」といった具合だったので、この機会に知識を深めようと思った次第です。
カーニングとは
日本語で言うと文字詰め。選択した2つの文字間を調整することです。タブを開くと任意の数値を選ぶことができる他、[オプティカル]、[メトリクス]、[和文等幅]というプリセットを選ぶことも可能です。これらの違いは以下の通りとなっています。
- メトリクス:書体設計士が設定したその書体に最適な文字詰めをしてくれる機能。
- オプティカル:IllustratorやIndesignなどのソフトがその書体に最適な文字詰めをしてくれる機能。
- 和文等幅:和文はベタ組み(そのまま)で、欧文だけメトリクスが適用される機能。

下図にカーニングのプリセットだけを変えて文字を並べてみました。個人的な意見だとオプティカルは窮屈な印象ですね。和文等幅は「ッ」と「ク」の隙間がどうしても気になります。小文字/記号が弱いのかな。こう見るとメトリクスが丁度いいと言われていたのも納得します!

結局のところ最強の文字組み設定は?
色々と書いてきましたが、調べていると最強の設定を見つけました。それがプロポーショナルメトリクスです!
プロポーショナルって、釣り合った・整ったという意味なので、さらに最適化された文字組みであることがわかります。
・・・とは言いましたが先ほど紹介した[メトリクス]を選ぶことで実は既にプロポーショナルメトリクスは適用されています。どういうことかというと、これはメトリクスの仕様上の問題の話になるのですが、メトリクスを適用した状態で例えば個別でカーニングを調整したとすると、それ以外の余計な文字間まで動いてしまうのです。
たとえメトリクスが最適な文字組みであっても、それで全てが完璧というわけではではないのでデザイナーによって個別の調整が必要になります。この問題を避けるための設定ということです。
そこで気になる設定方法ですが、めちゃくちゃ簡単。それは、[Open Type]タブの中にあるプロポーションメトリクスにチェックを入れるだけです。これで個別調整をしても他が崩れることはありません!ちょっとした一手間ですが、これでプロの文字組みに近づくことができました。

トラッキングとは
日本語で言うと行送り。選択した文字全ての文字間を均等に調整することです。こちらはシンプルで、数値の選択で調整をすることができます。

トラッキングの役割としては、文字による全体の印象づくりという風に僕は捉えています。デザインの商材やテイストや世界観、ターゲット層によってゆったりとした文字組みなのかor引き締めて読ませる文字組みなのか等によって調整していくように心がけています。

まとめ
今回は、文字組みをテーマに書いていきました。実際のデザイン作業ではメトリクスとオプティカルを同時に並べて・・みたいにすることが無いので、直感的に違いや特徴が見えてきて僕としても為になるブログになりました。細かいところにはなりますが、文字数が多くなればなるほど重要な部分になってくると思います。
今回色々なことを小出しにして書こうと思ってましたが長くなってしまいました。文字、フォント周りのことについては正直語り尽くせないので、また話題を絞ってまとめていけたらと思います。